来たぞ!エラッタだ!

 俺ののめりこんでいるカードゲーム、GUNDAMWARにまた新たなる制限改定が加えられました。既にこのことについて言及しているブログはこんなところの他にも腐るほどあるでしょうが、まあ折角なので俺も紹介&考察してみたい。


 まず今日は今回の改定から1枚制限/デッキ扱いになり、デッキの中に1枚しか入れられなくなってしまったカードの紹介&考察。対象カードは以下の3枚。
・コア・ベース
・ブリッツクリーク
・A.W.(アフター・ウォー)

コア・ベース
永久の絆 / ベースドブースター2
UNIT
U-83 青 2-3-1 U
クイック 高機動
(自動B):このカードはプレイされて場に出る場合、リロール状態で出る。
(自軍ダメージ判定ステップ):《R》このカードが戦闘エリアにいる場合、自軍本国のカードを全て見て、その中からユニット1枚を抜き出し、自軍ジャンクヤードに移す事ができる。その後、自軍本国をシャッフルする。

宇宙 地球 [*][2][2]

 かつて、「合体ZZ」というコンボギミックがあった。このカードで本国から、コア・トップで捨て山からサーチしてジャンクヤードに落としたZZガンダムを、コア・ファイターのテキストでそれら3枚をジャンクヤードに移す代わりに吊り上げて場に出す。いわば「合体する」というものだ。昔はコア・ファイターのテキストが違った事などもあって一時期猛威をふるったのだが、現在ではそうやってZZ1枚を出した所でどうにもならない事が多く、ほぼ忘れられている。しかし、コア・ファイターは捨てられても、このカードとコア・トップはまだその真価を発揮できるデッキが最近になって現れた。それが今のメタゲームの一角、「Sガンダムデッキ」である。
 Sガンダムデッキは、手札、ハンガー、ジャンクヤードにある「Sガンダム」を、「Gコア」の効果を使って「Gコア」、「Gアタッカー」、「Gボマー」のいずれかあわせて3枚をハンガーに送る事で出す事ができるデッキなのだが、送る先がハンガーなのでリソースを失っていない事、またそのSガンダムが特大サイズ、強力なアンタッチャブル、交戦すると焼きテキストがあるととにかく強力なので、いわば「合体ZZ」の後期版といえるデッキながら、非常に高いデッキパワーを持っているといえる。
 しかし、ここで問題だったのはコア・ベース、及びトップの能力がそのデッキとかみ合いすぎていた事だ。Sガンダムの合体材料はGコア以外クイックを持っていないので、Gコアが2枚以上でなければ出してから最速合体でも2ターンかかるという欠点があるのだが、この2枚は両方ともクイック、しかもリロールインなのでそれらの展開を全く阻害しない。そしてそのテキストが凶悪だった。戦闘エリアにさえ出てしまえばとりあえずSガンダムをジャンクヤードに呼びこめてしまうのだ。本来Sガンダムデッキにおける「Sガンダム」のサーチ手段は「Gボマー」の本国の上から5枚見て、その中のSガンダム関連を廃棄できるというテキストくらいだったのだが、その働きがかすんで見えるほどにこのカードのサーチ力は高い。完全にとは言わないが、役を食ってしまっているといえる。さらに、別に落とす対象はSガンダムでなくても、Gコアなどパーツ関連を落としてから、オペレーション「コア・ブロックシステム」の効果で自身を廃棄して、落としておいたカードをハンガーに移す、ということもできる。さらにクイックでリロールインなので、1枚を敵軍ターンに緊急ブロッカーとして出す→交戦で破壊される→廃棄にカットインでコア・ブロックシステム→ジャンクヤードにあるもう一枚のコア・ベースをハンガーに……という流れができれば高機動永続ブロッカーの完成でもある。色々と書いたが、つまるところ、「Sガンダムデッキに入れない理由がない」のだ。
 今回エラッタにまで踏み切った理由は、やはりデザインされていたこのカードの役割を飛び越えた使い方が広まりすぎてしまっていたのが理由じゃないかと思う。やっぱSガンデッキでGボマーの役が食われてしまっているのは見ていて悲しい。コア・ベースとコア・トップがあるなかベースだけがエラッタになったのは、やはり本国と捨て山、というサーチ場所の違いによる汎用性の違いだろう。捨て山をあさるとなると、効果の起動時点で(まだSガンダムギミックが完全に回っていない時)すでに相応のダメージを受けていなければいけないことになるのだ。


ブリッツクリーク
戦慄の兵威
COMMAND
C-118 緑 2-4-0 R
【ターン1枚制限】
(自軍配備フェイズ):自軍本国の上のカード7枚までを見て、その中にある任意の枚数のユニットを抜き出す事ができる。その後、残りのカードを任意の順番で元の本国の下に戻し、通常のコストを支払って、抜き出したユニットを自軍配備エリアにリロール状態で出す。

 イラストのケンプファーがカッコイイコマンド。しかしその性能は極悪で、使用者の多くを喜ばせ、対戦者の多くを地獄の底に突き落としてきたカードである。
 とにかく、簡単に言えば「本国の上から7枚の中にあるユニットを通常のプレイと同じコストで全てリロールでだせる」という効果なのだが、一見不確定なように見えて、この効果は案外不確定であることは少ない。というのも、デッキの構築次第でユニットの枚数は調整できるからだ。そして「場にユニットを並べて殴って勝つ」いわば「ビートダウン」を目的としたデッキなら、デッキ内のユニットの枚数は、ブリッツクリーク1枚というカード消費量を越えるアドバンテージ、7枚の中に2枚以上という期待値を出すには十分なユニットを詰め込める。
 そもそも、このゲームにおいてユニット1枚のカードパワーというのは非常に高い。場合においてはそれ一枚で戦況を決めてしまうような効果を持ったユニットが2枚どころか3枚4枚と出てしまえば、それら全てを駆逐するのは並みのデッキでできることではない。その3枚目4枚目を簡単に出してくるのがこのカードであり、しかもリロールインなので即攻撃に出撃可能だ。ある意味、きまってしまったらどうしようもないカードといえる。
 しかし、これがただユニットを展開するだけのカードならばまだそれでよかったのだろうが、そうはいかないのがカードゲーム界という物で、その即効性に目を付けられ、このカードを撃って場をそろえる→あとは地球侵攻作戦等、制圧系カードでゲーム終了といった流れがよく作られた。これが噂の「地球侵攻OO」なわけだが、とにかくこのカードは「これ撃って場をそろえてはいおしまい」というソリティア的なゲームを多く生んでしまったのである。相手に戦略性を持たせる事すらしないデッキが最強であるのは疑いのないことではあるが、それが横行するようなカードゲームは存在してはならない。そんなわけで、このカードは比較的新しいカードにもかかわらずエラッタを受けたのだろう。これによって、今後はこれを軸とした戦略は組みにくくなり、あのOOも多少は腰をすえて相手とにらみ合うデッキになったはずだ。
 呼び出せるユニットがせめて緑単色ならば、今回エラッタを食らうようなこともなかったと思うのだが……まあ、それでもいつかはエラッタを受けた気はするが。


A.W.(アフター・ウォー)
烈火の咆哮
OPERATION
O-X38 茶 2-3-0 R
(自動B):このカードがプレイされて場に出た場合、このカードの上にコイン4個を乗せる。
(自動D):自軍ターン終了時に、このカードの上にあるコイン1個を取り除く。このカードの上のコインが無くなった場合、このカードを廃棄する。
(自動A):全てのプレイヤーは、コマンドのプレイ、オペレーションのプレイ、「(自動)」以外のテキストのプレイ、ユニットの出撃を行う事ができない。

 降り注ぐコロニーがイラストのオペレーション。ようするに、3ターン(自分は4ターン)の間、ユニット、キャラクターのプレイと(自動)のテキスト起動以外の全ての能動的行動を封じるカードである。つまり基本的には時間稼ぎの効果なのだがウィニー対策にするには早くもないし、動き出すのは相手からとおいしくなく、イマイチ使いどころがない……というのが一昔前のこのカードだったのだが、その後様々なカードが出てくるにつれこの「自動」のテキストのプレイだけはできる、という点が様々なコンボを生むようになった。例えば相手が各種コマンドや効果で自軍を守るのもままならない中、自分は悠々とジ・オの(自動B)効果で敵軍ユニットを奪ったりするなどだ。この程度ならばまだよかったものの、その後、自動効果でハンガーへのドローを促進する効果を持つターンAガンダムが収録された事によって、このカードで場を縛りながら自軍プレイヤーはターンA効果でひたすらにドロー、というギミックを搭載した「青茶第七次」というデッキが台頭し、さらに新弾、20弾で毎ターン戦闘エリアに直接出る事ができる(自動B)効果を持つガンダムF91(ハリソン機)が収録された事によって、かなり特殊である(自動)系のテキストの効果によるものでなければ対策が難しいAWハリソン、というデッキタイプも登場。
 このカードが問題だったのは、このカードの発動状況下においても発動できる敵軍プレイヤー側のギミックを崩す方法が極めて限られている事だと思う。このカードは所詮オペレーションなので破壊できればいいわけだが、コマンドがダメ、という時点でそれはかなり限られる。結局、せいぜいがデュオ・マックスウェルやリグ・シャッコー(カテジナ機)などのプレイイン効果によるものだ。そして、それらの対策ができなければ、もはやなすすべはないのである。これもまた完全に「相手にゲームをさせないゲーム」が可能になってしまっているので、このたび目を付けられて制限化したのであろう。
 このカードが制限になった事により、このカードを主軸としたデッキはあらかた消え去る事になるだろう。このカードの制限化に関しては、すでに多くのGWプレイヤーが考え、願っていた事ではあったと思うので、納得の対応というべきだろうか。