会食前夜

 一応こっちでも改めて告知しておくと、パフェバイキングに行くのは明日(土曜)の午後1時に駅集合です。参加者は間違いの無い様お願いします。


 さて、それとは別にして、今日で最後のGWエラッタ、ルール変更紹介。今回は「クイック」のルール変更について。


「クイック」は「強襲」「水」「プリベント」などと同じく、GWのカードの持つ特殊効果の一つで、テキストとは別にそのカードに付加されている特殊な効果。そのテキストは

■クイック
(自動B):このカードは、全てのフリータイミングでプレイできる。また、「ターン中1枚しかプレイできない」という制限に含まれない。

 というものだった。つまり、この特殊効果を持っているカードは、「配備フェイズ」ではないタイミング(本来ならばコマンドやテキストのプレイしかできないタイミング)でのプレイが可能で、さらにユニット、キャラクター、オペレーション、Gが本来従わなければならないはずの「同じ種類のカードは、1ターンにつき1枚しかプレイすることができない」というルールに従わなくていいということ。これらによる恩恵はというと、まずユニットがこの能力を持っているのならば、普通は1ターン(それも自軍ターン限定)のうちに1枚しか展開できないユニットをその制限に関係なく展開できるという点がある。場合にもよるが、GWの根幹を成す部分であるユニットの数は多ければ多いほど当然有利に繋がるので、クイックの「展開力の強化」という能力はユニットを主軸にするデッキならば多く重宝された。それ以外にもMFがいる中、何故MFデッキでシャイニングなどのほかにドラゴンガンダム※1が採用されるのかといえば、その「クイック」による展開力の補強にある。また、すべてのタイミングでプレイできるため、場のすべてのカードを手札に返す恫喝※2をプレイする前に、クイックユニットをプレイしてカットイン恫喝、とすることで、クイックユニットが場に出る前に恫喝を解決し、後には何もない荒野の上をそのユニットがなぐるだけ……などの使い方も可能。キャラが持っているならば、これもユニットと同じようにキャラクターを1ターンに2枚出すようにも使えるし、キャラクターの場合は乗っていることで特別な効果を発生する物や、特定の効果の対象にならなくなったりする物があるので、相手の特定の効果にカットインでクイックキャラセット、テキストでその効果は結果的に無効、という風に使えるので、むしろ「すべてのフリータイミングでプレイできる」という点が優秀。新弾のギリ※3なんかはその典型。で、オペレーションだが……基本的にクイックを持っているオペレーションはほとんど(すべて?)が通常通り場に出す物ではなく、ユニットにセットして効果を発揮するタイプの一部ものであり、またそれらが言ってはなんだがそろいもそろって微妙なので、正直あまり特筆するべき事はない。
 そして、クイックつきG。これが今回の制限において一番大切だった部分。このクイックGがなぜ危険かというと、「1ターンに1枚の制限にかからない」ので、通常のGに加えてもう1枚Gをプレイすることができるため、簡単に国力のブーストが行える点だ。今まで何度も言ってきたがこのゲームにおいて国力は根元の部分なので、いつの時代も最も危険視されるのは「相手のGがそろわないうちに勝負を決める」というようなデッキだ。その手段の一つが自分側のブーストによって一足先に強力なカードを出してしまい、相手が何もできないうちに敵軍Gを破壊するなどで足を止めて殴り殺すというやり方である。
 当然販売元もその危険性は理解しているので、これらクイックGは「次の自軍ドローフェイズ開始時に廃棄される」という効果を持っているので、何も考えなしに使うとただのデッキ容量の無駄遣いにしかならないが、しかるべき構築をすれば、相手が2〜3国あたりしかないところに4〜5国クラスのパワーのカードを呼び込んで一気に封殺する事も難しくはない。……とはいっても、昔はそういう事をするなら、同じく自壊効果があり、クイックはないが、1枚で2枚分の国力を発生できる、通称「2G」の方が使われていたので、このカードの出番はなかった……が、その2Gが「ブースト地球侵攻OO]の悪行により禁止に追い込まれたため、そのデッキを運用するさい、代わりにこちらを使った人もいた。
 ぶっちゃけ、確かにトーナメントに存在はしていたが、ブースト源を2GではなくクイックGに変更した「地球侵攻OO」デッキは、少なくとも制限改定の際に注目しなければいけないほどの結果を残していたデッキではなかった。しかし、正直それはシャアが強すぎたからだったという可能性も十分にあり、また、そもそも2Gが使えなければクイックGというように変更されてデッキが生き残っていた事からもわかるように、そもそもどの色でも用意されているブースト手段という物が危険なのだ。その証拠に、トーナメントに残っていたデッキでこの手のカードを積んでいたのは、正直どれもこれも「手札が上手くそろったら勝ち」という「一人回し」的なデッキばかりである。
 なので、これまた多くのGWプレイヤーがクイックGが禁止、もしくはそれに順ずる処分を受けないかと思っていたのだが、それに対するホームページの返答はそれらの予想を絶妙にかわしたものであった。すなわち、「クイックG」の制限改定ではなく、「クイック」自体へのルール変更である。変更後のテキストは以下の通り。

■クイック
(自動B):このカードは、全てのフリータイミングでプレイできる。

 つまり、今までのクイックにはあった、「ターン1枚しかプレイできないという制限に含まれない」という部分がまるまる抜け落ちたのである。これによって、たとえクイックつきであろうとも、手札から一気に出して展開、ということはできなくなった。(ただし、敵軍ターンにも出す事ができるので戦力展開の意味合いを失ったわけではない)また、プレイされることで何らかの効果を及ぼすユニットなどは、クイックがついていても自軍ターン中にはその効果を活かしづらくなった。(自軍ユニットをプレイしなければ戦力が整わないが、プレイしてしまうともうユニットはプレイできないため)……そして、それは結果的にクイックGの死滅を意味していた。ブーストできなくなったブーストカードに存在価値がないのは当然である。ちなみに、OOデッキも優秀なアタッカーだったガンダムキュリオス※4が使いづらくなった事や、ガンダムエクシア※5が自軍ターン中に介入しづらくなったなどでちょうどいい感じの弱体化となった。
 「クイックでおかしかったのはクイックGやOOなんだから、そいつらにエラッタかければいいのに、なんでクイックに……?」という人は結構いるし、確かにこのルール改定によって、極悪デッキだけではなく多くのネタデッキやガチに及ばぬながらも何とか頑張ろうとしているデッキが潰されてしまった※6事には残念だと思うが、個人的にはこのルール変更はよくやったと思う。そりゃあクイックがいつまでも今までのレベルなら、クイックGやOOにだけかけてれば丸く収まったでしょうが、今後絶対にクイック持ちで、もっとパワーがあるカードが出てくるのは当然だし、しかも今は「プレイされるとリロールイン」が「戦闘配備」という特殊効果となってテキストとは別に数えられている事が多いため、クイック+リロールインというユニットもかなり増えてくるだろう。それらがそろいにそろってGWを斡旋した時、卓上で繰り広げられるのは「手札に××3枚あるんで全部出します。俺TUEEEE!」という勝負なのは明らかである。……そもそも、強いクイックユニットを一方的に展開する事は、「自分だけが展開して一気に殴り殺す」という点で今までの制圧OOなどと通じてしまっている点があるだろう。そんなことを許していては、どんどんとクイックユニットが従来のユニットを駆逐して、環境は早くなる一方だ。……そのような環境を招かないためにも、この辺りでこういう手をうっておいて正解だったと、俺は思っています。


 今回の制限改訂は、全体的によくやったと俺は思っています。これによってシャアやOO、そしてOガンダムの理不尽な強さはなくなったし、後はガンダム隊をどうにかすればいろんなデッキに光が見えてきた。このガンダム隊を残したというところに今回の制限が「ツメが甘い」ものであったか「よくやった」ものであったかという評価は分かれそうですが、少なくとも俺は「よくやった」方であると重ねて思います。


※1「ドラゴンガンダム」……合計国力4で、4/1/2+ダメージテキストの攻撃よりなスペックを持つMF。茶の他に緑でもしての支払いが可能。ここまでもろいながらも、他のMFに比べて採用されやすい理由がその「クイック」にあるといっても過言ではない。(当然それだけではないが)それだけ、ユニットデッキにとって展開力は重要なのだ。
※2「恫喝」……5国で、自軍攻撃ステップに場にあるカードをすべて手札に返す黒のコマンド。自軍クイックユニットのプレイ→カットイン恫喝とつなげることで、恫喝の解決後に自軍ユニットだけを場に残すというプレイングが可能。
※3「新弾のギリ」……先日紹介した、21弾のギリ・ガデューカ・アスピスのこと。セットされたセットグループが赤のコマンドとその色以外のユニットの効果の対象にならない能力に加えて、クイックを持っているので、相手のそれらの効果にカットインで乗せてやると、その対象を無効にして解決を失敗させる、という事が可能。ただ、その場合は2枚撃ちされると対処できないので、先に乗せるか後出しするかは状況次第だ。
※4「ガンダムキュリオス」……ほぼリロールイン、格闘5、高機動……というアタッカーに必要な条件をそろえているユニットでしかもOOユニットなので指定2ずつさえあれば合計国力4で出てこれるのでコストパフォーマンスが高い。そして何よりクイックであったことが一番の強みだったユニットで、4ターン目になったら同じくリロールインのガンダムヴァーチェと一緒にプレイしていきなり10点をたたき出すのがOOデッキの常套手段だった。しかしクイックのルール変更により、単体だと意外と対処されやすいこのカードにとってその弱点をカバーするところであった、「他のカードと一緒に高機動で殴れる」という利点が大分薄れてしまったので、その力を落としている。
※5「ガンダムエクシア」……防御ステップにプレイされると敵軍ユニットのいるエリアに降っていく上、高いコストパフォーマンスにひどいテキストをもった押しも押されぬOOのトップユニットだが、あくまで効果の起動条件が「このカードのプレイ」なのでそのターン中にプレイしたバーチェで攻撃→相手の防御に反応してエクシア様ということはできなくなった。個人的には、これのおかげでかなりすっきりできた。
※6「デッキが潰されてしまった」……このクイックのルール変更により、今までクイックを頼りにくみ上げられていた多くのデッキは当然ながら死滅を迎えた。例としては、「キュイデッキ」(乗ってるキャラクターを手札にバウンスすることで敵軍本国にダメージを与える艦船「キュイ」に、クイックキャラを一度に大量に載せて大量打点を狙うデッキ)「部隊編成ネオ隊」(戦闘力、チーム能力は優秀ながら、PS装甲なのですぐ手札に返ってしまうというのが欠点のガイアガンダムら「ネオ隊」ユニットを、青のオペレーション「部隊編成」でクイックを持たせ、手札に返っても1度に展開する事で攻防共にこなせるようにしたデッキ)「スク水ケンプ」(「サイクロプス隊」のチームがそろえば強大な制圧力を持つ「ケンプファー」を、場に出ると1ドローできる水持ちの「水中使用」と、水を持つ自軍ユニット1枚を手札に返す事で場に出せる「ゾッグ」を組み合わせてドロー加速することでチーム要因を手札にそろえ、そろったところで手札にあるユニットをそのターンだけすべてクイック+戦闘配備付きにするコマンド「スクランブル」で展開し、勝負を決めるデッキ)などがある。こればっかりは残念という他はない。