生きてるんだから失敗なんて目じゃない

 今日、GWCS最後の大会となった大坂大会のレポートを見ましたが……まさかのDブロックカウンターグロムリン優勝や、ついに混色でも使われだした謙信に比べ、ブーストSDにおいてその存在を第13独立部隊ガンダムととってかえられてたりする信玄の価値が、目に見えて下がっているのにも驚いたながらも、一番驚いたのは異常にデッキ名が消えていることだった。なんかやたらと「一部だけ」デッキ名が消えずに残っているのが気になるのですが……ひょっとしたら、大阪にはバンダイの横暴を許せず行動を起こした人々が多かったのかもしれない。


 さて、そんなことはともかく、先日の話ですがついにクロスボーン・ガンダムX1&クロスボーン・ガンダムX2のカードテキストが正式に発表されました。なので、今回もまだ使ってもいないのに考察してみようと思う。


XM-X1 XM-X2 クロスボーン・ガンダムX1&クロスボーン・ガンダムX2
栄光の戦史
UNIT
U-C92 赤 2-7-1 R
クロスボーン系 MS コンビ 専用「キンケドゥ・ナウ」専用「ザビーネ・シャル」
戦闘配備 《[2・4]》換装〔クロスボーン・ガンダム
【マルチプル>防御ステップに、このカードが戦闘エリアにいる場合、戦闘エリア1つにいる、5以下の合計国力を持つ全ての敵軍ユニットを、持ち主のハンガーに移す】
(自動A):このカードの「マルチプル」では、「名称:クロスボーン」であるユニットを、このカードと同じ名称のユニットとして扱う事ができる。
宇宙 地球 [6][2][5]


 赤のネタ切れ対策のために未だ高い支持を誇るために、毎弾追加されているといっても過言ではないクロスボーン・ガンダムシリーズだが、今回の弾では二つのユニットを1つにまとめたというこれまたネタ切れ対策的な画期的な発想により生まれたいくつかの「コンビ」ユニットが登場するのだが、赤は彼らが担当する事になったようだ。どこかで聞いた話によると、黒と白という組み合わせからプリキュアと呼ばれているととかいないとか。
 それはともかくとして、性能の考察に入る。まずは基本スペックから見ていくと、格闘力6、射撃2はクロスボーン系の中では最高値タイであり、そこそこ期待にこたえているとは言えなくはない。だが、一番大切な合計国力が何故か7になってしまった。どうせ換装で出すのだから関係ないといえなくはないが、最近のユニットはダブルオーのサイズに対抗するためか、昔の基準に比べて一回り上のサイズと特殊効果の合計的強さを持たされているものが多いのに対し、何故かこのカードは7国力カードの基本サイズである6/X/6を下回るというよくわからない冷遇を受けてしまっている。そしてこの言い訳のような資源コスト1が個人的にとても腹が立つ。まるで「これでコストの合計がX3やフルクロス以下だからいいでしょ?(キリッ)」という開発元の声が聞こえてくるようだ。……資源コスト1で7国の先輩、X3ヒートダガーも格闘力が5だったが、あれはその分自前で強襲を持っていたし、時代が違うしなぁ、というか戦闘力とテキストの合計の強さで計算するとX1ノッセルのときの大盤振舞いはなんだったんだろうと思ってしまう。そしてクロボンにしては初の戦闘配備を持っているが、そもそも7国というのは、クロボンに限らずよほどの事がない限りプレイして場には出ないという認識をされているので、まあ飾りとは言わないまでも当てにできる要素として期待するのは酷だろう。……しかし、これで6国だったら、コア・ファイターをどうしてもひけず、パッチワークもない、もしくは使いたくないという時に、素出ししてから殴りにいけるうえ、ここからノッセルやフルクロスに換装した後、さらにこのカードに換装するということができるので、クロスボーン・デッキが悪あがきをできる可能性もあったのだが、こんなに残念な事も久しぶりである。そんなにコストの合計値が大事なら4−6−2でもよかったですよ俺は。ただ、とても制限の緩い換装は偉い。それでもノッセルと全く同じ換装テキストなのだが、単純にコア・ファイターがない場合でも展開できるクロボンに幅が出たのはデッキを組む側としてはありがたいことだ。テキストも奇襲ブロッカーとしてはそれなりに使えるしね。ところで、どうでもいいんだけど、二人とも思いっきりマント羽織ってるのに特殊シールドが全く存在しないのが気になります。
 さて、お次はテキストについて。このカードのテキストは改・改(ピーコック)以来久しぶりの、「マルチプル」+「クロスボーン・ガンダムでのマルチプルコスト代替」能力である。ただ、従来までのテンプレとほんの少し違う点として、コスト代替テキストが「名称:クロスボーン・ガンダムである」から「名称:クロスボーン」であるとなっている。つまり、「クロスボーン・ガンダム」なくてもクロスボーン〜〜や、〜〜(クロスボーン)といった名称のユニットをマルチプルの弾にできるのだが、カードならともかくユニット限定では、クロスボーン・ガンダムのほかにはバタラ(クロスボーン・バンガード仕様)※1くらいしかいない。よってほぼどころかまるで意味のない変更と言う事ができる。意味が出るとするなら、今後〜〜(クロスボーン)という名称の陸戦型ジム(07小隊)※2的なユニットの登場を待たねばななるまい。10年かかってもでないだろうが。……でもまあ、改・改やフルクロスの変則的な代替テキストを経て、変に縛りもなく、非常に使いやすいテキストに戻ってきてくれたのは喜ばしい事である。さて、マルチプル本文の考察に移るが、この効果は、防御ステップにこのカードが戦闘エリアにいる場合、戦闘エリア一つにいる合計国力が5以下のユニット全てをハンガーに移すというものである。そして回数制限はない。マルチプルは基本それが当たり前なのだが、なんだか久しぶりな気がする。要するに、手札かジャンクヤードの特定のカード1枚で、複数を対象にしたバウンスを放てる+このカードの戦闘力と特殊効果というのがこのカードのパワーなので、決して弱くはないといえるだろう。5国力以下という制限はあるが、基本的に優先して使われるのは5国力以下のカードであるため、大抵の場合は2回撃てば戦闘エリアをまっさにできるはずだ。そして多くのユニットで一気に部隊を組んで殴ってくるようなウィニーデッキやチームデッキが、これ一枚で頭を抱えるであろうことも想像に難くない。しかし、エリア一つという制限は当たり前にしても、戦闘エリアに出ないといけないのは足かせである。というのも、別に戦闘エリアにいなければ効果が使えないこと自体が致命的な欠点というわけではないのだが、問題はそれなら同じ条件でより広いエリア、広い対象、広いタイミングでバウンスできるザンバスターの下位互換テキストととも取られてしまうことだ。基本的にサンバスターの弱点がテキストが重い、ということと、何らかの効果で戦闘エリアに出させてもらえないと無力、ということであるため、効果が下回っている上に弱点を共有しているのでは差別化を計りづらい。とりあえずこのカードがザンバスターに勝ちうる(もしくは相互互換)な点としては
・格闘力6
・換装
・バウンステキストに国力制限がない
・自分1枚でも複数をバウンスできる可能性がある
・「全て」なので対象の喪失による解決の失敗が起こらない
・バウンス先が手札ではなく持ち主のハンガー
 ということであり、やはり一番大事なのは国力制限のなさであろう。このことにより、「6国たまるまでは基本一定上のサイズを持つカードでなぐっておけば大丈夫」という弱点の一つをカバーすることができるようになった。また、このカードの強みとして、換装とテキストの相性がいいことがあげられる。相手はコア・ファイターがいなかったとしても、パッチワークが1枚立っているだけで戦闘エリアにユニットを出撃させるかどうかを考えなければならないし、またパッチワークのような手段で弾を用意せずとも、このカードがクロスボーンから換装する事で自動的に手札に弾が一発補充されるので、そのまま出撃からマルチプル発動につなぐ事ができるのである。また、ザンバスターは複数のカードを対称に取ったとき、慈愛の眼差し※3や戦いに戻る理由※4などで対象のうち1枚を効果解決前に解決不可能にされてしまうことで、全体の効果解決に失敗するという弱点があるが、このカードにはそれがないのも利点といえるだろう。その分、自動B能力を持つユニットの部隊など、戻したくないユニットはもどさない、などの芸当はできないのだが。ちなみに、ハンガーに移す、というのは、ハリソン機※5などの手札で起動する効果を使わせなかったり、転向やボッシュ※6で奪われたユニットを取り戻しつつこちらで使ったり、再利用を封じたりできるので手札に戻すよりも効果としては有用である事が多いのだが、手札で起動する効果は大抵換装に代表されるように、「このカード自体は重いが、テキストで早出しできる」というような効果であるので、合計国力が6以上である事が多く、またこちらのカードを何らかの効果で奪われた場合も、このカードを使用していると言う事はその奪われたカードもすべからくクロスボーン・ガンダムであり、コア・ファイターは奪われたとしてもまずこのカードが見えている状態で戦闘エリアには出てこないと思われるので、まずバウンス対象に取ることはできないため、あまり活躍しうる要素ではないと思われる。
 しかし、やはりいくら重く、いくつか仕様が違うとはいえ、バウンスカードとしてはザンバスターに大きく遅れをとってしまっていることは否めない。5国力以下しか戻せないのではアグリッサやミーティアなどの本当にどうにかしたいフィニッシャー的ユニットが出てきた時に太刀打ちできないし、もしミラーマッチにでもなれば役だ立たずもいいとところである。また、配備エリアを対象に取れないのではいずれ相手に状況を立て直される可能性もあり、制圧力のレベルが比べるのもおこがましいほどに違う。いくらこのカードには国力制限がないとは言っても、どうせ出るのが4国では、Gの配備が通常通りのペースなら2ターン後にはザンバスのほぼ完全下位互換となってしまうわけである。ちなみに、防御ステップにしか使えないというのは、ザンバスターのように配備エリアのユニットを戻しつつ月光蝶※7とか、ダメージ判定ステップに戦闘のユニットをバウンスして相手の射撃ダメージだけを計算させるとかそういう芸当ができるわけではないのでそこまで重要ではない。ただ、テキスト発動後にエクシアやハムフラに振ってこられた場合※8、もう一度テキストを使うでもないこのカード1枚では何もできずに死ぬしかないので、そのことは考えておいた方がいいだろう。総合して考えると、性能が強いというよりは、パッチワークなどから換装できる自由度の高い換装持ちの追加と、早いターンからのバウンスの可能性などをデッキに与えた、という意味合いのほうが強いカードだと思う。これが出てきた事により、ザンバスムラマサノッセルフルクロスのように何かが劇的に変わる、というカードではないのだが、ちょっとかゆかったところに手の届く感じではあるので、普通のデッキではザンバスとスロットを相談して1〜2枚入るかどうかといったところだろうか。ただ、パッチワークからの換装先が3種に増えたということは、パッチワークからの換装だけでもそれなりに戦えるようになったということではあるので、そうしたデッキには大きな前進をもたらしてくれるかもしれないカードであると思う。
 しかし、久しぶりに長文書くと整合性が取れてない気がする。


※1「バタラ(クロスボーン・バンガード仕様)……1国の、多分、クロスボーン・ガンダム以外では唯一名称「クロスボーン」であるユニット。紫以外の任意の1色に指定国力を変更できる能力を持つ。あえて言うまでもなくカスである。
※2「陸戦型ジム(07小隊)」……青の真のエースユニットと噂される、合計国力1のユニット。出撃すると自軍本国の上のカード2枚からどちらかを敵軍ハンガーに移し、ダメージが本国に通ると自軍ハンガーに取り戻すというテキストをもっている。つまり殴って通れば質の高めの1ドローができるのである。そして片適正ゆえ防御も3と高い。こんなカードを皆が使わないわけはないのでした。
※3「慈愛の眼差し」……このカードをヴァリアブルでGにした場合、戦闘フェイズに任意のカードを取り除くことができる。よって、ザンバスターのテキストによって敵軍ユニットを複数指定した際、カットインでそのうち1枚を取り除くことで、そのカードがすでに取り除かれて手札には戻せない状況になる。そうなると「X枚を戻す効果を使用したのに、X枚全てを手札に戻せなかった」ということで、解決に失敗してしまう。しかし、普通だったらテキストまるごと解決に失敗するため、必要なコストともどもやり直せばいいだけなのだが、マルチプルは発動宣言時にコストを取り除くため、効果の解決に失敗してもコストが失われており、こちらが丸損となる。しかし、X1&X2のマルチプルのように「全ての」という記述を持つテキストは対象を宣言時と効果解決時で別々にとるため、宣言時にはハンガーに移せたはずのカードが解決時には移せなくなっていたとしても、改めてその時にハンガーに移せるカードの対象を取り直しているので、問題なく解決できる。
※4「戦いに戻る理由」……発生する国力は黒だが、ヴァリアブルがついているためとてもデッキに入れやすい青の2国コマンド。常時タイミングで、効果解決後、ターン終了時まで自軍ユニット1枚が移動しなくなるという効果を持っている。これをカットインで挟まれても、「X枚を移動させる効果を使ったのに〜〜」となるため、※3と同様の事態となる。
※5「ハリソン機」……「ガンダムF91(ハリソン機)」のこと。このカードは6国なのだが、手札にある場合3国力で戦闘エリアに直接出る事ができるテキストを持っている。しかしハンガーにあれば効果は使えないので、ハンガーに移すだけでただ重いだけのユニットと化するのだが、そもそも6国ではX12のテキスト範囲外であるため、ハンガーに移す、という点を生かせない。23弾で登場するジョッシュゼクといい、この手のテキストを持つユニットは基本サイズが大きいからこそそのテキストを持っているわけなのである。
※6「転向とボッシュ」……「持ち主のハンガーに移す」という効果で移動したユニットについているセットカードは、「セットカードはセット元のカードと同じ状態になる」というルールによって、ハンガーに移る場合はセット元のカードと同じハンガーに移動する事になる。よって、転向やボッシュなど、セットすることでコントロールを奪う系のカードによって奪われたカードを持ち主のハンガーに移す効果の対称にする事で、相手がもう一度同じカードをプレイできる状況にはならないし、色が合えばこちらから使う事ができる。しかし、このカードが出せる状態で、クロスボーン・ガンダムデッキが奪われて困るカードは全て6国以上なので、現実的にはどうあがいてもX12ではこの戦法を使用する事はできない。ちなみに、GWいは自分の場とハンガー以外の全ての自分が管理する場所には、相手のカードは存在できないという認識があるため、同じ事を手札に戻す効果でやると普通に奪う効果のあるカードは相手の手札に返ってしまう。
※7「月光蝶」……自軍攻撃ステップに、全てのGをバウンスする効果を持つ茶の5国コマンド。これを攻撃ステップに配備エリアのユニットまで対象に取れるザンバスのマルチプルを使って場をまっさらにした後につかうことで、無人の荒野をクロスボーン・ガンダムが走り抜けて勝つというデッキがかなりガチだった時代もあった。
※8「エクシアやハムフラにふってこられた場合」……X12のテキストは防御ステップにしか使えないため、この制限がなかったらダメージ判定ステップまで待ってから使うことで危険なくまとめてバウンスできるのだが、この制限の存在により効果起動後にこれらのテキストを持つユニットに介入されてしまうと、1体相手にこのカードのマルチプルを使宇野も効率が悪いが、何もしないと格闘力を※にされてやられたり、速攻で一方殺されたりしてしまう。せめて防御の方が6だったならなぁ……