これぞ人の思い!人の絆!人の業!

 今日は中学の頃の同窓会に行ってきました。しかし、実を言うとこの同窓会、結局人数はほとんど集まらず、同級生よりも上級生の先輩の方が数が多いというものになってしまっていました。俺はそんな内部事情を少しですが前もって聞いていて、また、俺が同窓会の連絡をまわしても誰も来なかったという負い目があるので、今日という日がどのように終わるのか、とても不安だったのです。
 ですが……結果から言うと、俺は今日は楽しかったです。面識もない先輩と話をしてとぎまぎもしましたが、やはりこの年になると接点のない人とあえて話すのもそれなりに楽しいですし、ぶっちゃけ負い目は、俺と話の会う3人(俺含め4人)で話していたときに、途中からオタクトークになってしまったせいで1人が全く参加できなくなり、とても居心地の悪い思いをさせてしまったのではないかということのみで、俺としては久しぶりに飲んだし、話したし、俺が誰も呼べなかったことをせめられるでもなし(というか他の連絡役の人も人を呼べてなかった)で、後で思い返してもいい思い出、経験になると思いました。
 それでも、俺は来る前は「今日は大変そうだなぁ、気が休まらなそうだ」と考えていたわけですが、今日行ってみて気づいた事がありました。それは、大変なのはどう考えても今回の幹事(俺に今回の同窓会の連絡を頼んできた友人)だったということです。
 彼は常に先輩を立てるようにと気を使い、先輩の無茶を聞いて、とても文面なんて思いつきもしないのに同窓会開始のスピーチをやらされるはめになったり、とても気を使いながら先輩方の間を酌に回ったり、とても無理な量のお酒を一気に飲まされたりしていました。しかし、それだけならただ後輩は先輩に絶対服従という考えを持っているだけの人でしたが、彼はそうでありながら常に俺のこともまた気遣ってくれていた、と思うのです。先輩に対する手前、俺にずいぶんな無茶振りを振ることもありましたが、決してそれを最終的に強制はしなかったし、俺がよくわからないあだ名で呼ばれ始めたときもフォローをしてくれました(別にその呼び名は俺にとってはどうでもよかったことなのですが)。俺の前に来て疲れたようにぐったりする彼に言葉をかけるも、先輩に呼ばれた途端すくりと立ち上がってそちらに向かう彼の姿を見て、俺は「こんなに宴会で頑張ってる人は、少なくとも俺の経験の中では見たこと無い」という感想を抱きました。そして、最終的には「俺も二次会に行く」という話になっていたはずで、ぶっちゃけ俺としては「二次会にまで付き合う気はしないが・・まあ連絡するのにもかかわってたし、来る時彼の車できたから変える手段もないし、しょうがないか」と思っていた中、ふと彼と二人になった時に、「今日はすまなかった。これでタクシー使って帰ってくれ」と彼はお金を渡してきたので、俺は断りましたが、彼はどうしてもと渡してきました。このあと、彼は今日になって同窓会をドタキャンした面子のせいで、たりなくなった会費を払わなければならないというのにこの気遣い。ちょっとだけ泣きそうになりました。彼はあれだけ先輩に気を使いながら、俺にもこんなに気を使っていてくれたというのがわかったからです。そして、彼にとって俺は、決して頼めばすぐ言う事をきいてくれる使いやすい奴、ではなかったということが嬉しかったです。というのも、俺は今回の連絡役を回された時から、俺は恐らくそう思われているのだろうと考えていたからです。
 結局、帰りはタクシーを使わず、先輩の車で送っていってもらう事になったのですが、彼にタクシー代を返そうとした時、千円分を返される事をかたくなに拒否しました。
 そして、俺は後日、彼に連絡用に借りた卒業アルバムを返す事になっています。……ここに、2千円挟んでおく事にしよう。
 俺を気遣ってくれた友人、俺と話をしてくれた友人、なんだかんだいいながら場を盛り上げ、俺の帰るという空気の読めない発言を聞いて送り届けてくれた先輩。全ての人に、ありがとうございました。