涙のジェットストリーム・アタック

ずいぶん放置した状態になってましたが、とりあえずエラッタ解説の続き。今日は緑の前半。

ドップ (変更前)
UNIT
U-47 緑 1-1-0 U
クイック
(自動B):このカードはプレイされて場に出る場合、リロール状態で出る。さらに、ターン終了時にカード1枚を引く。

地球 [*][1][1]

ドップ (変更後)
UNIT
U-47 緑 1-1-0 U

(自動B):このカードはプレイされて場に出る場合、リロール状態で出る。さらに、ターン終了時にカード1枚を引く。

地球 [*][1][1]

ガトル (変更前)
UNIT
U-48 緑 1-1-0 U
クイック
(自動B):このカードはプレイされて場に出る場合、リロール状態で出る。さらに、ターン終了時にカード1枚を引く。

宇宙 [*][1][1]

ガトル (変更後)
UNIT
U-48 緑 1-1-0 U
(自動B):このカードはプレイされて場に出る場合、リロール状態で出る。さらに、ターン終了時にカード1枚を引く。

宇宙 [*][1][1]

 かつて、緑ウィニーは必ず1ターン目にドップかガトルを置いてからゲームを展開したといっても過言ではないほど、速攻系の緑デッキにはこの2枚が頻繁に使用されていた。見た目は格闘力すら持たず、防御も射撃も最低。そんなこいつらが何故使われていたのかといえば、一言で言えば取り回しやすい上に、損が全くないカードだったからである。単純な打点、展開力アップ、相手ターンに飛び出せるブロッカーという非常に使いやすい用途でありながら、出してすぐ使える上にその後のドロー効果で損失が完全にない。これ単体でゲームが決まる、というカードであったわけではないが、とにかく使っておくことに間違いのないカードであった。
 だが、とにかく便利すぎたせいか(当時はチャンプブロッカーの存在はとても大きいという事もあった)、そんなこの2種にエラッタが入る事となった。その変更内容は「クイック」の削除というものであったが、これは非常に大きい。出しておく事に全く損がなかったことがこいつらの利点であった事は先に述べたが、クイックが消えた事により「ユニットのプレイ権」というものを消費するカードになってしまったためである。ウォニーなら全般的にそうだとは思うのだが、GWは特に早さが大切なゲームであることは再三言ってきている通りであり、そしてこのカードは単体では格闘力を持たないので、打点を生み出しにくい。そんなカードのために1ターンを費やしてしまっては、いくらドローができようが本末転倒なのである。またチャンプユニットとしても吃驚ブロッカーではなくなってしまったのだが……まあコレは正直、当時においてもともと1国カードのデザインを逸脱している感はあった。まあそれでもキャントリップ付きの出してすぐ使える射撃要員として優秀なので使い道がないというわけではなく、結果としてはちょうどいいバランス調整だったといえるだろう。ただ、このエラッタ後の環境として、もともと同じようなユニットであるっため、ドップの射撃を伸ばせるガルマドップの存在や、緑ウィニーに採用されるユニットがどちらかというと地球に偏りがちであることから、ドップに比べガトルが苦境に立たされている感はあるか。


アプサラスIII (変更前)
UNIT
U-165 緑 3-7-2 R
《[3・5]》換装〔アプサラス〕 範囲兵器(3)
(自軍防御ステップ):《[3・5](0)》このカードが戦闘エリアにいる場合、手札X枚を選んで廃棄する。その場合、合計国力4以下の敵軍ユニットX枚を破壊する。または、Xの値だけ敵軍本国に2ダメージを与える。

宇宙 地球 [0][5][7]

アプサラスIII (変更後)
UNIT
U-165 緑 3-7-2 R
《[3・5]》換装〔アプサラスII〕 範囲兵器(3)
(自軍防御ステップ):《[3・5](0)》このカードが戦闘エリアにいる場合、手札X枚を選んで廃棄する。その場合、合計国力4以下の敵軍ユニットX枚を破壊する。または、Xの値だけ敵軍本国に2ダメージを与える。

宇宙 地球 [0][5][7]

 緑の重ユニット。7国という国力でありながら格闘力0というのが正直悲しいが、当時にしては本体のコストに対してかなり軽い換装コストを持っている。……といっても5国は必要だが。そしてエラッタ内容は名称「アプサラス」ではなく名称「アプサラスII」からではないと換装ができなくなったというものである。
 さて、このエラッタはわずか3国という軽さで名称「アプサラス」である「アプサラスI」が登場したからなのだが、このカードの換装には国力コストがついていて、換装するだけならばアプサラスIIから換装するのでも速度自体は変わらない。なぜそうであるのにもかかわらずエラッタになるほど問題だったかというと、そのアプサラスIには手札のアプサラスIIに換装を与えるというテキストを持っており、アプサラスIIは戦闘エリアにいる場合、ダメージ計算とは別に本国にダメージを与えるテキストを持っているのである。つまり、この2枚がそろった場合(換装は当時自軍攻撃ステップに使えたので)、3ターン目から本国に打点を刻み、そして5ターン目にはこのカードが換装で現れ場を制圧、という動きができたのである。そしてこのとき、アプIIIの換装元がアプIIだけだと困る事があり、アプIIIは当時の基準で制圧力にこそ優れてはいたが、打点力に関しては効率的に言えばIIの方が上だったのである。だが、IIを換装元にしてしまうと、少なくともそのターンはII1体分の打点を失うことになる。だが、このときIIの換装元として使われていたIを換装元にすることで、打点と制圧力の両方を備えた部隊を5ターン目に最速で完成できるのである。これがストレートに決まってしまうと、対抗できるデッキは当時決して多くなかった。それゆえのエラッタなのだろう。……多分。
 ちなみに現在においてだが、換装が自軍攻撃ステップにできなくなったので、II、III共に換装ですぐ出した所で効果もすぐ使うというわけにはいかず、また格闘力0、手札まで消費しておいて4国力以下のユニットしか破壊できない、素の国力が7、しかもロールインというこのカードは決して強力とはいえず、ぶっちゃけ今エラッタ解除されても環境にはなんら影響はないだろう。


ノリス・パッカード (変更前)
CHARACTER(UNIT)
CH-123 緑 1-4-0 R
プリベント(3) 速攻
(戦闘フェイズ):《(1)》このカードの部隊にいる、このカード以外のユニット1枚は、ターン終了時まで、このカードの戦闘修正と同じ値の戦闘修正を得る。
M Ad [2][2][1]

ノリス・パッカード (変更後)
CHARACTER(UNIT)
CH-123 緑 1-4-0 R
プリベント(3) 速攻
(戦闘フェイズ):《(1)》このカードの部隊にいる、このカードがセットされているユニット以外のユニット1枚は、ターン終了時まで、このカードの戦闘修正と同じ値の戦闘修正を得る。
M Ad [2][2][1]

 要するに自分の戦闘修正を他のユニットにも与える事ができるノリスなのだが、変更前のテキストは「このカード以外のカード1枚」とかかれており、この書き方だと当然ながら自信はキャラクターでありユニットではないので、戦闘エリアにさえ出ていれば自身が乗っているユニットに対して効果を適応する事が決して不可能ではないテキストになる。しかし、そもそもそういうことができるテキストなら最初から「このカードの部隊にいるユニット1枚」と書いておけばいいだけであることからもわかるように単なる誤植であったらしく、即修正された。まあそのまま放置されたとしても、速攻+格闘4点パンプはちょっと面白いかも程度ではあったろうが。ただ戦闘力が実質2倍なので、カードの計算式は大きく狂う事になる。
 ちなみに、こんなエラッタよりもむしろこれより前の、自分のセットグループを捨てる事で格闘力分のダメージを敵軍本国に与えるシュート的なノリス(CH-13)に出ていた、どのデッキでも安易に使用されることを抑制するための、テキストへの国力コスト(2・4)のエラッタのほうが環境的には間違いなく影響を与えているのだが、どうやらOldエラッタに分類されているようなので今回はあえてとりあげません。


総攻撃 (変更前)
烈火の咆哮
OPERATION
O-80 緑 1-2-0 C
【(自動A):自軍プレイヤーは、自軍ユニットを攻撃に出撃させる事ができない。全ての自軍ユニットは、+2/±0/±0を得る】
(敵軍帰還ステップ):《(0)》このカードを廃棄する。

総攻撃 (変更後)
烈火の咆哮
OPERATION
O-80 緑 1-2-0 C (制限カード
【(自動A):自軍プレイヤーは、自軍ユニットを防御に出撃させる事ができない。全ての自軍ユニットは、+2/±0/±0を得る】
(敵軍帰還ステップ):《(0)》このカードを廃棄する。

 GWプレイヤーに誤植、といえばおそらくほぼ全ての人がこのカードのことを思い出すであろうカード。(あんまり新しいプレイヤーだと前に紹介した「星の鼓動は愛」の方を思い出すかもしれないが)さて、その誤植部分がどこなのかといえば、あろうことか変更前のテキストでは「攻撃に出撃できない」となっており、「【総攻撃】をプレイしたら一切攻撃ができなくなった」という風に処理されてしまうのが変更前のテキストであった。当然これはカードの根幹に関わる部分でありながらも、開発側の誤植であり、すぐにエラッタという形で修正を受けたが、カードのテキスト欄にに書かれている「攻撃」の2文字は我々にバンダイのあまりにも浅はかなミスを忘れさせないのである(再録なども一切されていない)。また、その後1枚張るだけで打点が4点(戦闘エリア二つ分)増え、さらに重複もするという性質上、これを2枚以上引き込んだ緑ウィニーは手が付けられないレベルの圧倒的暴力を誇っていたため、制限カードにも指定されている。
 当然だが、もしこのエラッタが出ていなかった場合、このカードの使い道はまず存在しないといっていい。