1冊500円の恩は返さないとな

 というわけで、この間IMOにおごってもらった「苺ましまろ」第四巻の感想を書きたいと思う。いつもお世話になっております。


・訪問販売の男
 化粧品のセールスマンである男の人が伸恵を初めとする例のメンバーと関わってしまう話。訪問販売の家を変えるたびに伸恵達がいて、最終的には茉莉と彼があった際に、泣き出したのを止めるために頭をなでた事をセクハラを働いたと勘違いされてボコにされる彼はあまりにもかわいそうである。笹塚君に続き、この漫画で名前をもらった男キャラクターはまさに泣きっ面にハチを地で行くという証明。それにしても、泣き出した茉莉はほんと可愛いぜ?


・詰め合わせ2
 ネタがないのかそれとも最初からそういう予定だったのかは不明だが、とにかく短編集。いきなり美羽がわけのわからん自作漫画を千佳に見せるところから始まる。個人的に好きだったのは、あだ名の話になったときの「アナちゃんにはコッポラっていう立派なあだ名が」と、何故か美羽のまねをした伸恵が茉莉に対し、携帯電話で声色を変えてパンツの色を尋ねた際の「ふ、普通の白ですけど……あなた誰?」という反応。ああもう、本当にこの子は。
 ちなみに、この短編は全部で9話あるが、そのうち8つが美羽のネタ振りから始まっている。本当この子いなかったらこの漫画始まんないね。それにしても、やはり美羽は何気なく絵がかなり上手い。


・ワン
 犬を飼いたい茉莉が、犬になった美羽を拾い、飼い始めたはいいがその行動やオチにひどく悩まされる夢を見る話。なんとなく犬姿のコスチュームはイイ。色気がアップしているわけでもかわいらしいわけでもないんだが……なぜだ。
 なお、最後の1コマにて現実でであった美羽に茉莉がどなりつけるシーンがあるが、茉莉が怒り、美羽が驚いているというこの漫画では非常に珍しい1カットである。残念ながら美羽の表情がわかんないけど。


・やせよう
 急に体重が増えてしまった千佳がやせようと努力するが、それにつきそっていた美羽もまた体重が増えていることに気づき、最後には千佳は成長期でしたというオチがつく。(美羽は普通に太った)
 千佳が間食しすぎなのを気にしてお菓子に手をつけない中、自分は一人ついばんで美味を賛美している美羽はまるでうちの弟のようです。よって嫌な気分。その後美羽もまた体重が増えたことが発覚したとき、美羽は結構本気であせっている様子なのですが、こういう彼女は実に珍しい。というかそもそも、彼女が何か物事に対して本気で考える事はまずない。とりあえず、体重と伸恵からの好感度は美羽にとっての至上命題らしい。


・PUSH THE BUTTON
 美羽が千佳が寝ている間に額に絵を描き、そのままで千佳は一日を過ごすという話。くだらなさでは4巻までの全ての内容を考えてもトップクラスである。ページも6ページしかない。
 特にコメントするところもないが、いたずらに気づいた千佳が髪の毛を逆立てるほどに怒った描写なのがこれまた珍しい。というか、こんな事で歴代トップクラスの怒り方をしていると思うと何かむなしいですね。


・恋
 浮いた話のなかった伸恵にラブレターが来た。そのために色々と行動を起こす一同でしたが、最後には美羽の芝居だった事がばれてしまう、というお話。
 ラブレターをもらった初めのころの伸恵はなんだか初々しい感じで、手紙を机の端においてからそわそわと見つめ、部屋に乱入してきた美羽達にあわてるという面も見せるのですが、終盤になるにつれてテンションは低下の一途を辿っていく。ですが、最後のコマの気合いの入り方を見るとやはりまんざらではなかったようだ。実際伸恵や他の4人に浮いた話があったら個人的に面白いんだがなぁ。まあこの漫画ではありえまい。あと、伸恵と相手の男とのコミュニケーションをシュミレートしているところで、男役だからとヤクザ役で絡んできた美羽に立ち向かおうとして転ぶ茉莉はこの巻でトップクラスにかわいらしい。


学校の怪談
 音楽のテストがあるのだが、リコーダーを学校に忘れてきてしまった茉莉。それを取りに行くためアナと伸恵は夜の学校に向かい、3人を驚かそうと美羽と千佳が先回りするが、結局伸恵にしてやられてしまう。と言った感じのお話。
 この話には久々に笹塚君が登場し、その不遇っぷりを見せ付けてくれる。ただ茉莉と同じくリコーダーを取りに行っただけなのに、馬のお面を被らせられて、最終的に美羽や千佳の工作の犯人にされ、アナにサイテーとまで言わしめられる。これはもはや不幸というか、まさにこの世界の中において不遇な状況に立つために生まれてきた男である。凄い男だ……


・学ぼう
 5人それぞれの学校生活を描く短編集。冒頭は伸恵以外の4人が一緒にジャンケンをし、おそろしくジャンケンの弱い茉莉ちゃんを負かせて荷物もちをやらせるところから始まる。それで思い出したが、中学のとき、友達の中に3人の人と10回ずつジャンケンをして全て負けた人がいた。いるもんなのですよ。自分で自分のジャンケンの癖に気づいてない人は。
 ところで、美羽はいいかげんに答えたとはいえ、何気に算数の問題の答えが分かってる風なのだが、実は割りと勉強できたりするんだろうか?まあ、その後の授業で寝てるから多分そんなことはないんだろうけど。それと、もう一つ気になったのは伸恵が高校で「水泳したくない」といった次のページで「お姉ちゃん今日6時間目体育だっていってたから、先帰ってるかもよ?といった千佳。さすがは姉妹……!


・ブーン
 美羽がアナ以外の3人に「刺サレル タスケテ」というメールを送ったが、千佳と茉莉が彼女の部屋にきてみると、ただ蚊に困っていただけでした。という話。ちなみに、伸恵はハナから無視でした。
 これも4ページと短く、特徴的には来る途中で転んだ上に、部屋に入ったら蚊に刺され、さらに肌にかが止まったところを美羽にはたかれる、と、茉莉が2ページくらいで一気にひどい目にあう。
 ところで、優しい茉莉ちゃんがこうして美羽の元に駆けつけた気持ちはよくわかるのだが、もし本当に「刺サレル」的な状況だった場合、茉莉ちゃんがその場にいるとなんというか最悪の事態になってしまう気がしてならない。


・雨
 宿題をする千佳。しかし、美羽はまったくやらずに遊ぶばかりか、雨で外に出られないので千佳の邪魔をする。そのせいでいつもどおり千佳に宿題を写させてもらうわけにはいかず、最後には先生の前で「千佳ちゃんが宿題を見せてくれない」と抗議するという美羽だからこそできたとでもいうべきオチがつく。この際の美羽が涙目なので、どうやら本人は本気らしい。さすがだわ。
 千佳に美羽に対するツッコミセンスがあることが証明されたり、千佳が終始イライラを募らせる内容が展開され、彼女のファンはいつもより多めの出番に喜ぶか、あまりにも自分勝手な行動で千佳を困らせる美羽に殺意を募らせるかどっちかだろう。
 今回、茉莉とアナはほとんどオプションであり、随所で背景的に動く感じだった印象が強い。というか、他3人の話に入る隙間がなかったかな


・全体の感想
 この巻あたりから、美羽がただ心のままに動く愛すべき馬鹿というよりは、ただの自己中のようになってしまっている気がしてちょっといい気分ではなかった。前からそうだっといえばそうだったけど、今回のには性質の悪いものが多かったというか。このへんで千佳の役割が美羽へのツッコミで定着した感もある。あと、なんとなく伸恵の持つワイルドさが目立った巻だったように思う。
 ただ、これ以外には特にいつもと違うところはなかったかな。まあ、そういう漫画だったか。



 とりあえず、こんな感じだろうか。IMO、改めてありがとうございました。