これが……!!なお現役のカードの力かよ……!

さて、色々と面倒な事が終わったので、とりあえずGWのクロスボーンの解説をば。今日は12弾(蒼海の死闘)にて追加された一枚である、X1ザンバスター装備。


XM-X1 クロスボーン・ガンダムX1(ザンバスター装備)
蒼海の死闘 / エクステンションブースター2
UNIT
U-C33 赤 2-6-2 R
【マルチプル>《[2・6]》このカードが戦闘エリアにいる場合、敵軍ユニットX枚を本来の持ち主の手札に移す。Xの値は、「名称:クロスボーン・ガンダム」である自軍ユニットの枚数を上限とする】
(自動A):このカードの「マルチプル」では、「名称:クロスボーン・ガンダム」であるユニットを、このカードと同じ名称のユニットとして扱う事ができる。

宇宙 地球 [5][2][5]


 色々説明する前に一言。とにかく強い。このカードが登場した頃などはその相対的なサイズの大きさもあって、このカードだけでゲームを終わらせる事すらあったとか。クロスボーン・ガンダムデッキにはどんなタイプであれ必ず採用されているといっていいカードであり、このカードと同じ12弾でコア・ファイターが誕生し、その換装能力によってクロスボーンガンダムデッキというデッキタイプがうまれた事を考えると、まさにクロスボーンガンダムデッキの誕生から現在に至るまで欠かさず3積み確定という事を考えるとその凄さがわかってもらえるのではないかと思う。
 さて、説明に入ると、まず<2・6>のコスト指定があるので、マルチプル能力は合計国力が6になるまで使うことは出来ず、その間このカードはただのサイズの大きいバニラであるが、同じコスト指定のかかっているX1、X2とくらべても射撃が高い分意外なところで役に立ったりはするし、なによりもようやく6国力たまった時の効果の強大さが半端ではない。X1もX2も強力な効果ではあるが、このカードのマルチプルは完全に場を制圧してしまうのである。
 このカードのマルチプルにおいて何が強力かといわれれば、とにかく手札に戻す相手ユニットの制限がないのである。タイミングの指定も、キャラクターのセット、非セットも、合計国力やコストの高低も、戦闘エリアにいるのも配備エリアにいるのも、ついでに回数も関係ない。おまけに名称:クロスボーン・ガンダムである自軍ユニットの数だけ対象を選ぶことができ、6ターン目には中々の事がない限り場にクロスボーンはこのカードを含めて2枚ほどはあるのが普通なので、大体の場合1枚より多く手札に戻す事ができる。さらにマルチプルの<0毎>により、たとえ一度の使用で相手ユニットを戻しきれなくても、弾となるクロスボーン・ガンダムさえいれば再度の使用で完全に一掃する事すらできる……おまけというには大きすぎるかもしれない。唯一、戦闘エリアにいなければ発動できないという点の制約はあるが、それは当たり前である。配備エリアからもこの能力が使えたら、それこそ敵は何もすることができない。
 とにかく、このカードのマルチプルはその高い凡庸性により、あらゆる行動が可能である。例えば、攻撃に出撃して、防御ステップの規定の効果後にマルチプルを発動してブロッカーを手札に戻して攻撃を通す、相手ターンの地球、宇宙両面攻撃に対して、換装から防御に単機出撃し、一度のマルチプルで完全に被害をなくす、相手が出撃しようがしまいがとりあえずこっちは出撃しておいて、手札に返して展開を悪くさせる、などなど。だが、そんないくつもの使い方の中で有名なのがいわゆる「ザンバス月光蝶」であり、ようするにこのカードを攻撃に出撃させ、攻撃ステップ中に効果を起動して敵陣をまっさらにする、その後月光蝶をプレイして全てのGを即座に手札に戻し、あとはクロスボーンしか存在しないフィールドを殴り続ける、というプレイングである。通常攻撃ステップに発動できる移動手段は少ないのだが、それができるザンバスターだからこそ芸当であり、またクロスボーンデッキは補助色として茶色をタッチする事で、ディアナ帰還※1の恩恵を受ける事ができるという点が非常に大きく、この月光蝶ギミックを搭載した「赤茶クロボン」が数あるクロスボーンデッキタイプの中でも最も主流とされているようだ。
 近年ではレイ・ザ・バレル、私設武装組織※2など移動効果を無効にしてくるカードや、ガンダム(ラストシューティング)※3など手札に戻すとますます被害が拡大してしまうカード、そもそもクイックを持っていて手札に戻してもあまりタイムラグにならないカードなども増えており、このカードのパワーは環境的には下がっている……はずなのだが、それでもいまだに3積みの意見は変わらないし、使っている自分自身そう思う。やはり、12弾という十分に古参と呼べるべきカードでありながら使われているのには、それだけの力があるのである。(ただ、12段には他にもV2、ゴトラタン、シャア専用ズゴック、デスサイズヘルなどしばしば採用を見受けられる優秀なカードが多かったのだが)
 ちなみに、このカードのマルチプルで2体以上を手札に戻す場合、対象を指定する効果となるため、例えば指定した2体のうち片方がレコードブレイカー※4で、カットインして手札に戻されてしまったり、効果にカットインして慈愛の眼差し※5で片方をゲームから取り除かれてしまったりすると、「指定した全てのカードを手札に移す」という効果が達成できなくなってしまうため、残った一方への効果も消えてしまう、という欠点がある。ただ、これらの手段で指定を抜けようとするカードの多くはクロスボーン・ガンダムX3(ムラマサ・ブラスター装備)が解決してくれる上、まあ結局の所ジャックヤードと手札にあるクロボンの数だけは確実に手札に戻す(除去させる)ことができるので、そこまで深く考える問題でもない気はする。


※1「ディアナ帰還」……効果は前に説明したとおりだが、捨て山を廃棄する際にクロスボーン・ガンダムが落ちればそのままマルチプルの弾にできるため、回復と戦略強化を同時に行う事ができるといった点で、クロスボーンガンダムデッキには非常に相性がいい存在。
※2「私設武装組織」……常時タイミングでロールすることで、そのフェイズの間、全ての非交戦中のカードがそれぞれに対する敵軍効果では手札とハンガーに移動しなくなるという「特殊G」。特殊Gなのでどんなデッキにも入りうるのがザンバスターとしては辛いところで、さらにムラマサでの無効が相手がよほどお馬鹿でない限りつうようしないので厄介。少なくとも「ザンバス月光」の型は崩壊してしまう。一応、ロールしなければ効果を発生できないのと、ロールしたらそのフェイズ中しか効力を発揮できない、という点を付いて、折衝の演説でロールする、換装から防御に出撃して効果を使わせた後、自軍ターンで戻しにかかるなどの手段も使えなくはない……が……
※3「ガンダム(ラストシューティング)」……以前に説明した事があるが、敵軍ジャンクヤードの枚数分だけ+Xの格闘修正を受ける青の4国ユニット。それだけならともかく、ひどいのが敵軍効果で場から離れた場合、その格闘値の分だけ敵軍本国を廃棄するという効果で、手札になど戻そうものなら、すでにディアナ帰還でジャンクヤードがこえているクロボンデッキは即死もありうる。ただ、このカードはX3ムラマサに対してはほぼ完全に無力なので、なんとかならなくはない。
※4「レコードブレイカー」……赤5国のユニットで、クイック+リロールインでいつでも手札から飛び出すことが出来る上に、高機動を持ち、交戦中でさえなければ常時タイミングで手札に帰ることができるというこれ以上ないほどに俊敏性を持つユニット。この常時タイミングで手札に戻る効果をザンバスのマルチプル対象指定後に使われてしまうと、ザンバスは効果の解決に失敗してしまう。
※5「慈愛の眼差し」……これもやはり解説したことがあるのだが、ヴァリアブルを持つ紫のコマンドで、Gになった場合国力は発生しないものの、戦闘フェイズ中に何度でも自軍カードを取り除く事ができ、さらに自軍本国をその度に3回復できるという効果が使えるようになる。これによって、戦闘フェイズ中に対象を2枚以上指定してくる敵軍効果の有効性を強く薄める事ができる。