不協和音

 昨日弟と会話していて思ったこと。
 討論、もしくはその要素を持つ会話において、自分の意見を通そうとする前に「お前の言いたいことはこういうことだってわかる」という前置きはとても重要だなと思った。でも、こうしてあとになって言っている事からお察しいただけるように、実際には会話の中で相手の言いたい事をわかっているつもりであっても、ついその一言がなく反論に出てしまうことがよくあり、その結果話の流れが自分の意図した方向とは全く違ってしまう。これはやはり自分の意見が全て通る事を本来望んでいるからなのか、それとも相手に対して遠慮して退いているような姿勢が無意識に嫌なのか、それはわかりませんが、どちらにせよその意味のないこだわりから脱却した会話の進め方ができれば、対人関係はもうちょっとスッキリするんじゃないかなぁと思う。
 とりあえず、自分の意見に凝り固まっている話し方が嫌いだと思っていることについては、神にかけて本当です。いついかなる時でも相手と相手の考えに対する敬意を持ち、それに従えば俺が犯しているような失敗は決しておきないはずだとは思うのですが、そう思っていても事実自分がそうならないのは、俺が汚い人間だからなのか、それとも人間がそれに殉じて生きることは非常に難しいことだからなのか、俺にはわからない。


 さて、紹介の続きを。


クイック(変更前)
(自動B):このカードは、全てのフリータイミングでプレイできる。さらに、このカードのプレイは、「ターン中1枚しかプレイできない」という制限に含まれない

クイック(変更後)
(自動B):このカードは全てのフリータイミングでプレイできる。


 今まで紹介してきたルール変更の中でも、「換装」のルール変更は大きく、その効果に関わる多くのカードに影響を与えたが、それでもこの「クイック」の変更ほどGWというゲーム、またそれに関わるカード、デッキに影響を与えたルール変更は今までになかっただろう。その変更とは、「さらに〜〜」からがまるまる削除されるというとてもシンプルな変更ではあったが、繰り返しになるものの、その影響は極めて大きかった。
 さて、何故この変更がとても大きかったのか?それは単純。「変更前のクイック持ちが手札にいれば、非常に高速で展開する事ができるから」である。昔はそれでもクイック持ちのユニットは戦闘向けというより、相手ターンの吃驚ブロッカーとして使うテキストを持っていたり、「効果を使ったあと場に残るコマンド」的なカードであったので、特に問題はなかったといえばなかったのだが、時代が流れるにつれて、ガンダムエクシアレコードブレイカーガンダムキュリオスなど単体で十分どころか十二分に戦力になるユニットにクイックがついていることが見受けられるようになった。その結果どうなったかといえば、それらをからめたユニットの高速展開からなる高速ビートダウンが一世を風靡したのである。単純に考えて、そのクイック持ちユニットが手札にいるかいないかだけで、そのターンから与えるダメージには倍近い差ができてしまうのだ。実際当時のOOデッキで当たり前のように見られた「4G目セット。キュリオスプレイヴァーチェプレイ、10点お願いします。」は中速デッキとしてはあまりにも速く、そして強かった。また、これはそう頻繁に見受けられた光景ではなかたっとはいっても、十分に戦力を整えたつもりでも、殴りに行ったら強力なクイックユニット(基本はエクシア)を複数毎プレイされて返り討ちになるかもしれない、というプレッシャーはいつでもあった。
 そして、環境はOOが猛威を振るい、キュリオスが我が物顔で戦場を高機動で飛んでいた2008年2月ごろ、「クイック」はルール変更された。結果、1ターンにそのユニットが出てくるべき最速のコストで2枚も3枚もユニットが飛び出てくることはまずなくなったのである。このことについてはGWプレイヤーの一人一人に色々な意見があるとは思うが、あくまで俺個人の意見としてはよくやった、と思っている。なぜなら、相手の強力カードを倒すためにはそれ相応のGと場の状況を必要とするのがGWというゲームであり、それが整いきっていないうちに殴りきる、という戦術は、このゲームにおいてはいつだって超強いからである。それでもこの「クイック」を持つカードのパワーに最細心の注意を払ってデザインしてもらえるのであればわざわざルールを変える必要はなかったかもしれないが、実際に非常に強力なクイックユニットはすでに出てきてしまったわけだし、仮にここででていなかったとしても、時代がすすめばいつかは同じ事が起きただろう。だからこそ、このような「クイック」というシステム自体に対する見直しが必要だったと信じているし、実際、これによって当時のGW環境はOOゲーということこそかわらないものの、幾分やりやすくなっていたと思う。……しかし、キュリオスの評価の下がり振りにはすごいものがあった。ところで、個人的にこのクイックの変更で一番気に入っているのが、ステイメンなどのコマンド的働きをするユニットの使い方に対し、自分も相手もよく考える必要が生まれたという事と、相手の吃驚ブロッカーの存在を考える時、「もし2枚3枚と出てきたら……」という事を考えなくてよくなったところ。前者はいわばコマンドの完全上位互換とすら言えたカード達が、「ユニットをプレイしたターンには使えない」という制約を受けた事により、コマンドとはかなり違う認識をすることにつながったし、後者はどちらかというと俺がビビリなせいだろうが、それでも例えばコマンドが2枚飛んできたことにより除去されたなら相手は手札2枚を使用しているわけだが、これがユニットであり、2枚のテキストを使用されることによって相打ちは愚か返り討ちにされたりすると、残った盤面はもうどうしようもないものであることはしばしばであった。
 一方でクイックキャラや、効果でクイックを得たカードを1ターンで大量にプレイするようなデッキ……「キュイシュート」や「水中使用スクランブルケンプファースク水ケンプ)」などといったロマンあるデッキの数々が、ルール変更というある種最大の暴力によって散っていったという事実はあり、「クイック」の弱体化は強いクイックユニットの性能を抑える事には成功したが、元々そこまで強くないクイックユニットの性能はただ下げるばかりになってしまったので、やはり何かを切り捨てた行動であったことについては否めないので、全てがしかるべき変更だった、とはやはりいえないだろう。
 ちなみに、このクイックの削除された部分のテキストが「ブースト」という特殊効果として独立し、後に造られることになったが、それでも「ブーストの効果は1ターンに1度しか使えない」という制約がついているので、このことからも、クイックの後半テキストがどれだけ危険であったのかがよくわかるというものだ。


戦闘配備
(自動B):このカードはプレイされて場に出る場合、リロール状態で出る。

 いわゆるリロールイン効果。ちなみに、今現在において、「戦闘配備」に関するルール変更、テキスト書き換え、及びエラッタは一切出ていない。なのになぜこうして紹介しているのかというと、GWと似たゲーム展開をするカードゲームの、「サンライズクルセイド」における「戦闘配備」がエラッタを受けており、また、昨今の戦闘配備だらけで、リロールインしないというだけで相当投入意義をなくされてしまうという状況をかんがみるに、GWでもそうなる、というかなって欲しいかもという気持ちが俺にあるからだ。ちなみにサンクルでの変更されたテキストとは

戦闘配備
(自動B):このカードは、プレイされて場に出た場合、防御ステップ開始時にリロールする。

 であるため、このルールにのっとった場合、簡単に言えば「場に出してすぐ防御には使えるけれど、攻撃には使えない」という変更である。大まかな事を言えば換装と同じような変更なので、今一括これに変更しても特に困るデッキは存在しないだろうと思う。
 ……ただ……ハンジャ様がとまんねぇ……あと、ラジエルみたいな先に殴りたいカードには向かい風かも。