俺が何でできたモノか

 友人Oにチャー研を薦めたら実際に視聴したらしく、その内容などについてメールで話し合っていたのですが、その中で彼が
「これDVD化はしてるらしいけど、これがもしブルーレイになったらとか思うと何か嫌だ。というか、むしろDVDじゃなくてβビデオで出すくらいのマニアックさが欲しいかもしれない」
 といっていた。なるほど、なんか確かにそんな感じがする。あとnavimaso。ごめんなさい。チャー研の話をする際にOに君の名を出して話を進めていたためか、Oはひょっとしたら君の事をチャー研親善大使みたいな存在だと思っているかもしれません。



※ここから下は、おそらく俺以外に需要が全く存在しないだろう文章になります。あと、読む部分はともかく記事としては信じられないくらい長いかもしれない。



 ソニックヒーローズというゲームのラスボス曲は「WHAT I'M MADE OF…」という曲なのですが、これがとてもいい曲で、体のそこから燃え上がるようなエネルギーを感じます。ですが、ぶっちゃけこの曲、何を言っているのかわかりません。なので、今回はこの曲の歌詞について真剣に考えてみようと思った。なお、件の曲は↓で。あと、ついでにこの曲が使われるラスボス戦とその前後の動画も載せておこう。
What I'm Made of...(歌詞&和訳付き) - ニコニコ動画
ソニックヒーローズ FINAL BOSS 【 vs メタルソニック】 - ニコニコ動画


 なお、歌詞&CDについている和訳カードの和訳は↓です。しかしこんなことやっていいのかな。まあ駄目だったら対応すればいいかな……

I don't care what you're thinking
(お前がどういうつもりでも構わない)
 As you turn me
 (俺に救いを求めてくる時に)
 Cause what I have in my two hands
 (この両手の中にあるものだけで)
 Is enough to set me free
 (俺は自由になれるから)
I could fight the feeling
(その感覚と闘うことだって出来る)
 To resist it over time
 (ずっと抵抗出来る)
 But when it's just to much to take
 (だが、手に負えなくなったその時に)
 You sneak up from behind
 (お前が背後から忍び寄る)
Is it me,you say, you'er looking for
(俺なのか、お前が探しているのは)
 Let me show you who I am and what I'm here for…here for…
 (教えてやろう、俺が誰で何のためにここにいるのか)
*Try to reach inside of me,try to drain my energy
 (俺の内側まで入り込もうとする、エネルギーを抜き取ろうとする)
 Let me show you just what I'm made of
 (俺が何で出来ているか、お前に見せてやろう)
Simple curiosity tries to take a bite of me
(無邪気な好奇心が俺に噛み付こうとする)
 Let me show you just what I'm made of now…*
 (俺の本当の力を、今、お前に見せてやろう)


Like a million faces
(無数の顔だって)
 I've recognized them all
 (俺には全部見分けられる)
 And one by one they've become
 (そして、その1つ1つが)
 A number as they fall
 (数字になって落ちて行く)
In the face of reason
(理由を突き付けられたら)
 I can't take no more
 (俺にはもう我慢出来ない)
 One by one they've all become
 (1つ1つ、すべてが)
 A black mark on the floor
 (床の上の黒いシミになってしまう)
Is it me,you say, you'er looking for
(俺なのか、お前が探しているのは)
 Let me show you who I am and what I have in store…in store…
 (教えてやろう、俺が誰で何を用意しているのかを)
*Repeat


You can take another life long try
(来世でまた、生涯を費やしてみればいい)
 You can take another try…
 (もう1度試してみればいい)


*Repeat
Try to reach inside of me,try to drain my energy
(俺の内側まで入り込もうとする、エネルギーを抜き取ろうとする)
 Let me show you just
 (お前に見せてやろう)
WHAT I'M MADE OF…
(俺の本当の力を)

 さて、背景を軽く説明しておくと、この曲はソニックを模倣して作られ、しかしソニックに勝つことができなかったメタルソニックが、カオスエメラルドソニックの世界のドラゴンボールみたいなもんです)の力とソニック達の力を得たことで、この世に並ぶもののないほどの怪物に変貌した状態と、同じくカオスエメラルドの力を得たソニック達とのバトルBGMです。しかし、これを聞いてもおそらく、多くの人は前述の和訳を見て首を傾げるのではないでしょうか。少なくとも俺はそうです。これでは何がいいたいのかよくわかりません。これは一応公式で発売されているCDの歌詞カードの和訳ということで、普通に考えればこの和訳がこの曲の真意に沿ったものとなるわけですが、一見して、どうにもこの和訳でこの曲のメッセージを表しきれているとは感じられません。ただ意味がよく分からないだけです。おそらく、CDを出す時に適当に英語にそって和訳しただけなのではないでしょうか。そもそも一番最後の微妙に意味合いの違うシメのリピート部が載っていないらしい(のでここに書いてあるのは俺が付け足しました)というのもこの曲への情熱をまるで感じませんよ。……まあ、歌詞に合わせて訳を置いているので、倒置法的になってしまうというのもありますが。
 というわけで、この曲の歌詞が持つ意味を、改めて考えていこうと思う。なお、この企画にあたり、Yahoo質問箱で回答されていた某氏の和訳は非常に参考にさせていただきました。勝手にでは失礼であるやも知れませんが、その訳をふまえ、使わせていただきます。
 ……とはいえ、俺の知識で「考える」だけなのでこれが絶対というつもりはないし、おそらくいくつも恥ずかしい事を言うだろうということをご了承ください。では、曲の頭から。

I don't care what you're thinking
(お前がどういうつもりでも構わない)
 As you turn me
 (俺に救いを求めてくる時に)
 Cause what I have in my two hands
 (この両手の中にあるものだけで)
 Is enough to set me free
 (俺は自由になれるから)

 1番Aメロ前半。まず、「As you turn me」を「俺に救いを求める時」と訳しているようだが、正直、何故「救いを求める」となるのかよくわからない。この使い方なら普通に「俺に向かってくる時」や「俺の方を向く時」と訳したほうが全体にあっているのでないか?……そもそも、この曲が果たしてメタルソニックのことを歌っているのか、ソニックのことなのか、はたまたカオスエメラルドのことを歌っているのか、それともそれの混合なのか、という謎はあるのだが。(基本的に俺はメタルソニックの曲であるという前提で進めたいのだが……)まあどれにしてもここは「俺に向かってくる時」が妥当だと思う。あと、「この両手にあるものだけで、俺は自由になれる」とするよりも、「俺はこの手に、俺を自由にするもの(阻めるものがない力)をもつのだから」とした方が意味は通りやすいかと思う。この「力」とは当然カオスエメラルド等による強大なパワーであり、だから「相手が何を考えているかは関係ない」。実際、彼は今の自分にはソニックの存在に意味などないと戦闘中に言っている。……もっとも、実は本音では割り切れておらず、一種の強がりだったと思うのだが。

I could fight the feeling
(その感覚と闘うことだって出来る)
 To resist it over time
 (ずっと抵抗出来る)
 But when it's just to much to take
 (だが、手に負えなくなったその時に)
 You sneak up from behind
 (お前が背後から忍び寄る)

 1番Aメロ後半。「〜feeling」と「To resist」の間を完全に区切った訳になっているが、個人的にはこれは繋がっているのではと感じる。つまり、「戦うことも抵抗する事も」という名詞的なToではなく、「それに抵抗する感情とずっと戦うことができる」という形容詞的なToの方が訳としては自然ではないか?それに、前者の場合はこの訳なら「and」があっていいのではないだろうか。まあ、歌の都合上省かれていると言う事も考えられるが……
 そしてその「抵抗する感情」とは「お前」ではないので、それと戦っているうちに「お前」に不意を突かれてしまうことを「俺」はおそれているのである。つまり、この「それ」をAメロとつなげて考えると、「俺(メタルソニック)」は阻むものない力であらゆるものを越える事ができるが、それに対して世界は反発するであろう。それ自体は今の彼にとって大した脅威ではないが、そうしている所に「お前(ソニック)」が忍び寄ってくる事を危惧している。だからこそ、あらゆるものを越えたと言うにもかかわらず、今この場でソニックを葬ろうとしているのではないだろうか。彼が内心、ソニックの可能性を恐れていることの表明であると感じる。

Is it me,you say, you'er looking for
(俺なのか、お前が探しているのは)
 Let me show you who I am and what I'm here for…here for…
 (教えてやろう、俺が誰で何のためにここにいるのか)

 1番Bメロ。最初の一行はだいたいこの訳し方で動かないだろう。個人的には「お前が、呼び、探しているものは」としっかり訳しきりたいところだが。あと、この「Is it」つまり疑問系であることは個人的に大好きなところ。クエスチョンマークこそつけていないようだが、これは「俺なんだろう?」という、疑問系で聞きながらその実断定しているという、一種挑発めいた感覚が見える気がする。
 2行目もだいたいこの訳し方でいいだろうが、これは非常に前衛的な訳を行っていた「某氏」もそうだったのだが、「何のために」となっている。しかし、文章を見る限り「何」はあっても「何のために」という表現は見受けられないように見える。つまり、この「What」とは「何」ではなく「〜〜の事」という使い方なのではないだろうか?そう捉えると、この文章は直訳的に訳すと、「俺が誰なのか、そして俺がここにいるという事を、お前に見せて(教えて)やろう」といった感じになり、これが一番自然ではないか?と感じる。
 問題としては、この部分はあんまりメタルソニックに合致しているような気がしない。2行目は「力を手に入れたメタルソニックが、自身がどのような存在となったかということと、今自分はまさにここにいるということをソニックに顕示している」といった解釈ができるかと思うが、1行目は微妙である。ソニックメタルソニックのことを探していたということを、メタルソニックが考えていたかというと少し疑問。もしくは自分にとってソニックが越えられず、自身の前にありつづけるものであった過去に対し今、ソニックが逆の立場になったことを願っていたという見方もできるかもしれない。……しかし正直、この部分はソニックカオスエメラルドからの視点であるという方がすんなりとはいくだろうか。前者の場合、未だに自身への確執があるメタルソニックの心をソニックが見抜き、彼は彼らしいクールな態度で「俺なんだろう?」と言い放つ。そして彼を形成するさまざまなもの(カオスエメラルドや仲間や精神)によって成り立つ自分の力を見せること、また、自身が今ここにいることを顕示しているというシーンになるだろう。後者の場合は、カオスエメラルドとは敵も味方も追い求める奇跡のパワーなので、1行目はもっとも上手く収まるだろう。そして、ついに自身を手にしたもの(もしくはそれに相対したもの)に、「俺が何でできているか(自身にどのようなパワーがあるか)」を見せつけ、そしてその力を得たものの圧倒的な存在感を持ってして、「俺がここにいる」と知らしめているという解釈がそれほど無理なく行えるのではないだろうか。……まあしかし、どの場合にしても訳しかたはあまりかわらないかとは思う。むしろこの1文で3回美味しいのかもしれない。

Try to reach inside of me,try to drain my energy
 (俺の内側まで入り込もうとする、エネルギーを抜き取ろうとする)
 Let me show you just what I'm made of
 (俺が何で出来ているか、お前に見せてやろう)

 1番(といってもこの曲サビラインの歌詞は全て同じだが)サビ前半。正直1行目のこの訳はひどいといわざるを得ない。まさに書いてあるままであり、あえて言わせてもらうが、おそらくこの英文の意味がわかれば、中学生でももう少し歌詞の意味を考えた訳を行うのではないだろうか?何が言いたいのかというと、最低限「お前が俺に入り込み、エネルギーと奪おうとするのなら」とかそのくらいのレベルでいいので、情景の湧く描写にして欲しい。だってお前ここサビだぞ!?
 ……まあそれはともかくとして、実際ここをどう訳すか?それが問題である。正直このサビはよく意味が掴みづらい。おそらくここの分かりづらさが、この曲全体の分かりづらさの一番の要因だろう。何度も繰り返されるし……とにかく、英文としては1行目は確かに文章的にはこういう訳になってしまう。前述のようにここに多少なりともラストバトルの情景が湧く描写を混ぜることくらいならできるだろうが、そうしたところで結局、あえてこの言葉を使う意味はわかりづらい。まあ、メタルソニックは機械だし、今はカオスエメラルドなどの力を得た存在なので、別に「エネルギーを吸い取られる」ことはおかしくないし、「内側に入る」ということもできることはできる。それでも他の訳し方としては、某氏は「俺の心に届くように努力しろ、俺のエネルギーを奪うくらいのことをしろ」と訳しており、確かにこれなら「全力でこい、ふがいない戦いをするな」というような最終決戦的雰囲気を表しているともいえるだろう。……だが、この場でメタルソニックは、そのような感情を持っているのだろうか?少なくとも自分が見た限りでは、メタルソニックは一度もソニックに勝てなかったことを内心相当コンプレックスにしており、会話から察するに、究極の力を手に入れた自分にとって、いまやソニックすらもゴミのような存在であるはずと考えている。つまりメタルソニックは、ソニックを可能な限り圧倒的に倒したいと考えている方が自然だと推察できるのである。そんなことを考えている奴が「俺の心に届くほどのことをしてみせろ」などと言い出すとは考えにくい。……むしろ冒険的な要素を好むソニックのほうが言い出しそうではあるが……正直それにしては乱暴すぎる気がしなくもない。……まあ、両方とも絶対に通らないというわけではないが……
 ぶっちゃけ、ここで一番しっくり来るのはカオスエメラルド視点だろう。カオスエメラルドにとって、相手が自身の中(自身に秘められた力)に近づき、そのエネルギーを我が物にしようとする時こそ、自分が何による物であるかということを、自身の力(自身を形作るもの)によりその相手を強化することで見せ付けるのである。多少強引かもしれないが、個人的にはこのほうがしっくりくる。

Simple curiosity tries to take a bite of me
(無邪気な好奇心が俺に噛み付こうとする)
 Let me show you just what I'm made of now…
 (俺の本当の力を、今、お前に見せてやろう)

 1番サビ後半。まず最初の「Simple」はいくらでも訳しようがあり、そのどれでも情緒にあふれていていい。この文章にあるような「無邪気」でも「幼稚」でも「単純」でもいい。どれも「curiosity(好奇心)」に繋げるにはいい言葉だ。
 が、ここもまた的確に捉えるのが難しい。「噛み付こうとする」というのは単純に「攻撃してくる」的な意味で捉えてしまってもいいが、この「simpleな好奇心」とはいったい何のことなのかがよくわからない。今回題材になりそうな人物の中で一番それが似合いそうなのはソニックだが、道中ならともかく、この最終決戦でカオスエメラルドによるスーパー化までして向かってきた相手を「simpleな好奇心」扱いするだろうか?……いや、むしろ、ソニックという存在自体が「simpleな好奇心」であらゆることに向かう存在であるという考えなのかもしれないが……さすがにそれは若干厳しいような……そして、もちろんこの時のメタルソニックに好奇心なんてものが存在しているとは思えないので、これが逆の場合を考える必要はないだろう。
 そうなるとやはり、ここもカオスエメラルドによる視点か、と思う。この場合、「simple(この場合は単純な、があっているか)な好奇心」とはやはりカオスエメラルドのパワーをただ追い求める者のことであり、「噛み付いてくる」のは自身の力を取り込もうとする行為であると考えられるだろう。そして、それを行うものがいる時こそ、カオスエメラルドはやはり、「自身がどのようなものによって成り立つ物であるか」ということを示す。……なお、何故か歌詞カードの和訳だと「俺の本当の力を」となっているが、そんな特別な書き方をされているようには見えず、何故かここで意訳的な訳をしている事が分かる。そういうのは結構好きだが、それをやるなら1行目からもうちょっと気合いを入れて欲しかった。別にここは直訳でやっても、前文と同じところだから違和感ないし。
 なお、某氏はここの訳を「単純な好奇心でできているんだ。俺の“爪の垢でも煎じて飲んでみろ”」としているが、なんというか鬼才的な訳である。正直に言って、何故その訳に至ったかがまるで分からない。しかし、なんか納得できる気もする。凄い漢(女性かもしれないが)だ……おそらく氏は、サビ前半をソニック視点、後半をメタルソニック視点として、お互いに相手に対しての決意表明をさせたのではないだろうか。ソニックは「俺と精一杯やりあおうぜ」と持ちかけ、メタルソニックは「単純な好奇心でできた貴様に、今の俺がどれだけの存在か、その一かけらでも味あわせてやる」といいのけるわけだ。互いの構え方の違いを感じるなかなかいいシーンだが、ただ正直……その訳はさすがに意訳が過ぎるのでは……ということで、個人的にはカオスエメラルド視点説がやはり有力かな……

Like a million faces
(無数の顔だって)
 I've recognized them all
 (俺には全部見分けられる)
 And one by one they've become
 (そして、その1つ1つが)
 A number as they fall
 (数字になって落ちて行く)

 2番Aメロ前半。この部分は訳としては確かにこう取るのが妥当に見えるが、意味としては若干分かりづらい文章であるといえるだろう。だが、サビのものに比べれば、こちらは「自身の能力を持ってすれば、千の顔も見極める事ができるが、それは数字となり、特別な意味を持たない」的な意味かと考える事ができるだろう。メタルソニックの機械としての能力と、機械ゆえの無情さを表していると取れるし、俺もそれで一応納得していたのだが、ここで某氏はこのような訳をしていた。
“千手観音”のように、俺は奴らを全員識別する。屈した奴らから一人ずつ仲間になっていく
 最初の「千手観音」の部分は正直、「千の顔であっても」でもいいだろうし、どちからというと素直に文から読み取れる後者でいいと思うのだが、問題はそこではなく、「become a number」を「数字になる」ではなく「仲間になる」と訳した所だ。これにはハッとさせられた。確かに「number」には「一員」というような意味合いもあるのである。そして「as they fall」つまり、「彼らが屈した時」「仲間になる。」、そしてそして、その仲間を全て認識する能力を、俺(メタルソニック)は持っているのである。この訳は英語に対して一定以上の知識を持っていることのまさに証明であるだろう。
 だが、すばらしい訳である事は間違いなく、これがおそらく英語のテストであれば○をもらえるのは氏の訳文だろうが、若干問題がなくもない。それは、一体メタルソニックの「仲間」とは何か?ということである。ソニックヒーローズにおいて、メタルソニックは生みの親すらも裏切っており、最終的に自身こそが至高の存在たろうとして、当然孤独であった。……ひょっとしたら、将来自分が君臨するようになった世界での話をしているのかもしれないが……Aメロ後半の歌詞から考えると、それも若干……?

In the face of reason
(理由を突き付けられたら)
 I can't take no more
 (俺にはもう我慢出来ない)
 One by one they've all become
 (1つ1つ、すべてが)
 A black mark on the floor
 (床の上の黒いシミになってしまう)

 その2番Aメロ後半。まず通常の訳で前半と繋げて解釈すると、「千の顔を見分け、数字として記憶する事ができるのだが、何らかの理由に直面させられる事で我慢がきかなくなってしまい、数字となっていた彼らはもはや床の上の黒いシミになってしまう」という意味になるだろうか。つまり、別段感情をこめずただ記録だけされていた存在は、「理由」に直面させられることでもはや記録としてとどめられなくなり、全て消えてしまうということだろう。問題はこの「理由」とはなんだろうと言う事か。別に直面する相手自体は「ソニックを前にすると俺は抑えがきかない」ということでいいと思うのだが、わざわざ「理由」という言葉を使うのがよく分からない。考え方としては、メタルソニックの思考回路を過剰に走らせてしまう存在や事象全てを指し、「理由」として統括したという考え方もあるかもだが……ちょっと抽象的すぎる気もしてしまう。
 そして次に某氏の訳で解釈した場合。まず、氏はこの部分の訳は
理屈などどうでもいい。俺はこれ以上受け入れることはできない、一人ずつ奴らは全員床の“汚点”となるんだ
 としており、二行目の「俺はこれ以上受け入れる事はできない」は面白く感じたのだが、一行目に対しては何故こうなったのかが自分ではよくわからない。何か特別な用法なのかな?……まあそれはともかく、全体の意味をつなげると、「俺は俺に屈した奴らを仲間とし、それを千手観音のごとく識別できるが、どんな理屈を話されても、俺は既に限界だ。結局奴らは全て、床の上の汚点になって消える」というような意味になるだろうか。とすればやはりこれは、現在ではなく未来のメタルソニックの歌詞だと見ることができるか?確かに、覇者として仲間を集めるも最終的に限界が来て、結局その仲間を全て放出してしまう度量の狭さはなんとなくメタルソニックに通じるような気もする。ただ、訳としてレベルが高いことには違いないが、どちらかというと素直に意味が通るのは前者の通常の訳かなと感じてしまう。……でもぶっちゃけ、あれはあんまりにも直訳すぎる気がするんだよなぁ……

Is it me,you say, you'er looking for
(俺なのか、お前が探しているのは)
 Let me show you who I am and what I have in store…in store…
 (教えてやろう、俺が誰で何を用意しているのかを)

 2番Bメロ。基本的に1番のBメロと同じだが、最期が「here for」ではなく「in store」になっている。よって最期の意味が「俺がここにいる」ではなく、「俺が何を蓄えているか」と言った意味になる。しかし個人的には「用意している」は直訳的すぎる気もする。でもそれとは別に、この場合だと「what」は「何を」って意味で使うしかないのか……でも1番のはそうじゃないほうが俺は好きだなぁ。

You can take another life long try
(来世でまた、生涯を費やしてみればいい)
 You can take another try…
 (もう1度試してみればいい)

 2番サビの後、最期のサビループの前のシャウト部分。非常に覚えやすく、歌いやすく、英文としての意味を理解しやすく、そして力の入り方がハンパではない。個人的にこの曲の中でもトップレベルに好きな部分である。
 この部分の意味合いとしては、あえて直訳すると、「あなたは違う人生で、生涯をかけて挑む事ができる。あなたは違う挑戦ができる」といった感じになるだろうか。つまりこの世ではすでに貴様にチャンスはない、と切り捨てる言葉なのであるのだ。この傲慢さ、そして力強さ。オーバーかもしれないが、背筋がしびれる。自分の勝利を確信しこの台詞をソニックへ放つ。その時のメタルソニックの胸中がいかほどなものか、想像しただけでなんというかワクワクしてしまう。ただ、見方としては逆に勝利を確信したソニックが、そんな生き方(無理やりな強化)なんてしなくてもお前はもう一度俺に挑む事ができると言っているとも考えられ、むしろそちらのほうがシナリオにはあっているかもしれない。実際、メタルソニックを倒した後「俺に挑みたければいつだって来いよ!」みたいなこと言うし。
 さて、まあ俺がこの歌詞にこういった感情がこめられているのではないか、と思っていることは分かっていただけたのではないかと思うが、そうしてみるとこの訳はちょっと大人しいかなと個人的に感じる。もうちょっと勢いに乗ったような力強さがあってもいいのではないかと。
 なお、某氏はこの部分を
おまえは二度も“一生のお願い”をすることはできない。おまえに二度目のチャンスはありえない
 と訳していたが、これはほぼ完全にメタルソニックの視点であると言っていいだろう。まさに力強さと傲慢さにあふれた言葉でとても迫力を感じるし、意味合いも崩れていないと思うが、ここでまた個人的には、原文に「can」と入っていることを気にしたいのである。ここで「can」を使っていると言う事は、この文は「お前は〜〜できる」的な文脈をわずかにでも含ませるとよいではないかと考えたい。例え同じ事を言うにしても、表現については自分のイメージを大切にしたいのだ。この部分俺相当好きだし。

Try to reach inside of me,try to drain my energy
(俺の内側まで入り込もうとする、エネルギーを抜き取ろうとする)
 Let me show you just
 (お前に見せてやろう)
WHAT I'M MADE OF…
(俺の本当の力を)

 シャウト部分をこえ、サビを繰り返した後、またサビメロディーが入り、この言葉でシメとなる。訳文については英文自体が今までと同じなのでもう触れないが、最後のこの「WHAT I'M MADE OF…」について考えておこう。この部分は先述したように歌詞情報から抜けていたので、俺が自前の歌詞カードから抜き出した部分なのだが、まず曲名は全て大文字であり、最期も全て大文字で終わっている。つまりこの曲の始まりと終わりはある意味全く同じところで繋がっているといえ、そういった一種の遊びだったのではと感じる。あと他にも何か意味があるのかもしれないが……さすがにちょっとそこまではわからないかな……最期がなにげにリーダでシメられているのも、その前の「here for…」と「in store…」と何か関連があるのかと思わなくはないが……まあ、このあたりは歌詞の意味には直接は関係ないだろうし……


 さて、これで全箇所について言及したわけだが。これらを踏まえて、最期に俺がこの曲の歌詞を、自分の心のままに表した場合の訳文を載せておこうかと思う。英文自体が持っていると思われる意味合いについてはすでに触れているので、かなりの意訳になるつもりだが。


「WHAT I'M MADE OF…」


お前が俺に向かってくる時、俺はお前が何を考えているかなど気にもしない。
(I don't care what you're thinking As you turn me)
 俺は俺を解き放つ力を、この手にしたのだから。
 (Cause what I have in my two hands Is enough to set me free)
俺は俺に歯向かうものといつだって戦うことができるんだ。
(I could fight the feeling To resist it over time)
 だが忌々しい事に、貴様はそんな俺の背後から忍び寄ってくるんだろう!
 (But when it's just to much to take You sneak up from behind)
俺なんだろう?お前が呼び、求めているものこそ。
(Is it me,you say, you'er looking for)
 さあ教えてやる。俺が誰なのかということを!俺はここだ。ここにいるのだと!
 (Let me show you who I am and what I'm here for…here for…)
もっと俺に近づいて来い。俺の力を奪ってみろ!
(Try to reach inside of me,try to drain my energy)
 俺が何によるモノかを、お前に見せてやろう!
 (Let me show you just what I'm made of)
単純な好奇心で俺に食いついてくるのなら
(Simple curiosity tries to take a bite of me)
 俺が何でできたモノか、さあ今こそ見せてやろう!
 (Let me show you just what I'm made of now…)


例え千の人間だろうと、俺には全て識別できる。
(Like a million faces I've recognized them all)
 俺に屈した奴らは、端から一人ずつ仲間になっていく。
 (And one by one they've become A number as they fall)
だがアレを目にした今、俺はもう抱えきれない
(In the face of reason I can't take no more)
 こんなものは端から、床の上の黒いシミにしてしまえ!
 (One by one they've all become A black mark on the floor)
俺なんだろう?お前が呼び、求めているものこそ。
(Is it me,you say, you'er looking for)
 さあ教えてやる!俺が誰なのかということを!俺が持ったもの、何を秘めているのかということを!
 (Let me show you who I am and what I have in store…in store…)

もっと俺に近づいて来い。俺の力を奪ってみろ!
(Try to reach inside of me,try to drain my energy)
 俺が何によるモノかを、お前に見せてやろう!
 (Let me show you just what I'm made of)
単純な好奇心で俺に食いついてくるのなら
(Simple curiosity tries to take a bite of me)
 俺が何でできたモノか、さあ今こそ見せてやろう!
 (Let me show you just what I'm made of now…)


来世を全て使って、もう一度俺の所に来てみせろ。
(You can take another life long try)
 何度だって何度だって挑んでみるがいい!
 (You can take another try…)


もっと俺に近づいて来い。俺の力を奪ってみろ!
(Try to reach inside of me,try to drain my energy)
 俺が何によるモノかを、お前に見せてやろう!
 (Let me show you just what I'm made of)
単純な好奇心で俺に食いついてくるのなら
(Simple curiosity tries to take a bite of me)
 俺が何でできたモノか、さあ今こそ見せてやろう!
 (Let me show you just what I'm made of now…)


もっと俺に近づいて来い。俺の力を奪ってみろ!
(Try to reach inside of me,try to drain my energy)
 さあお前にみせてやろう。
 (Let me show you just)
俺が何でできたモノであるのかを!
(WHAT I'M MADE OF…)



 おまけ。この曲とかが好きになった人は、おそらくここに置いた動画の曲も好きになると思います。「ソニック曲初心者」には、是非オススメの動画ですね。
【ソニック】SONIC COOL MUSIC MEDLEY【作業用BGM】 by mitani - ニコニコ動画